映画「くちづけ」。
昨日、映画「くちづけ」を観てきました。
知的障害者の自立支援のためのグループホームを舞台に、
そこで暮らすことになった元人気漫画家の父と知的障害を持つ娘。
これは、元々、原作、脚本を担当された宅間孝行さんが新聞に取り上げられていた
事件の記事から生まれたようです。
作品としては、とても良質な作品であったと思います。
始めの5分で、いきなり悲しい結末と笑いが入り混じった展開に
すっかり引き込まれてしまいました。
ストーリーの流れが非常に優れていて、グループホームの一員になったかのような
親近感もありました。
ただ、あまりメッセージ性とか、障害者の人権とか、深く考え過ぎないで、
観ることをお勧めします。
つまり、頭で考えると、悲しかったり、苦しい現実で頭がいっぱいになり、
「映画」だということを忘れてしまうと思います。
中盤に「お兄ちゃんはバカじゃない!」と何度も妹が言うセリフがあるのですが、
これは、演技力もあるのでしょうが、心臓をわしづかみにされた感じで、
思わず、涙が溢れました。
親子の愛情の形が歪で、よく「共依存」や「過保護」だとか言うこともありますが、
このメインの親子(マコ(貫地谷しほり)と、愛情いっぽん(竹中直人))には
愛情が強すぎるほど、強い理由は、過去のある悲しい事件にありました。
自分が余命宣告をされた時、残した大切な宝物が、無残に壊される可能性が高いと
思い込んでしまったら、どう行動してしまうのか。
何が正解で、何が不正解なのか。
愛するが故に、守りたい術が見つからない時、僕らはどこに救いを求めるのか。
最適な情報を得て、余計な情報を捨てるには、誰の言葉を信じたらいいのか。
結局、自分自身、頭で色々考えてしまう性分なのですが(苦笑)、
あくまで、「映画」ということを忘れなければ、とても心が熱くなる作品だと思います。
これは、親子の物語というより、「時空を超えて、一生、恋人。」って、感じがしました。